女エク ウォームアップマッサージ マニュアル
女エクのオプションメニューである、ウォームアップマッサージのマニュアルです。
(今後図説などを追加し、よりわかりやすくアップデートしていく予定です)
この施術の意図・効果
このウォームアップマッサージは、女エクでより高い効果を上げるために身体を準備させるものです。
全体で15分程度の施術を行って、筋温の上昇と関節可動域の向上を目指しましょう。関節の可動域向上は、特に女エクで重要となる脊柱・股関節に効果が表れます。
全体の大まかな流れ
15分間で、腹臥位→側臥位→仰臥位と進んでいきます。
1)腹臥位(うつ伏せ)
-
軽擦
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押圧(起立筋)
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腰仙部の母指圧
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臀部(大殿筋・外旋六筋)、他動運動を入れて行う
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ハムストリングス
2)側臥位(横向き)
!! POINT !!
腹臥位(ふくがい)
うつぶせの姿勢。
側臥位(そくがい)
横向きの姿勢。右を下にした場合を「右側臥位」、左を下にした場合を「左側臥位」という。
仰臥位(ぎょうがい)
あおむけの姿勢。
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肩甲骨
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広背筋・大円筋・肩関節外旋筋のストレッチ
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脊柱のストレッチ
3)仰臥位(仰向け)
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内転筋のマッサージ・ストレッチ
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臀部ストレッチ
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ハムストリングス・下腿部のストレッチ
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肩関節セカンドポジションにて外旋動作(大胸筋・三角筋前部繊維のストレッチ)
各パートの詳細とポイント
15分間で、腹臥位→側臥位→仰臥位と進んでいきます。
1)腹臥位(うつ伏せ)での施術
1.軽擦
目
的
-
起立筋など、背部全体の状態を把握する。
-
軽い刺激から慣らし、筋肉が驚いて緊張することの無いようにする。
手のひら全体で、肩部から腰部をなでるように滑らせる。
例)右起立筋→左起立筋→脊柱

!! POINT !!
軽擦(けいさつ)
手のひらで身体の表面をこするようにして刺激を与えるマッサージ法。
起立筋(きりつきん)
背骨を両側から支える筋肉。脊柱起立筋。

背中から見た図
2.押圧
目
的
-
起立筋の緊張を緩和する。
-
脊柱の関節(椎間関節)を他動的に動かす。
手のひらと手のひらの付け根で起立筋を押圧する。この時、筋肉に対して垂直に圧を加えるようにする。
胸椎上部・胸椎下部(胸腰移行部)・腰部で圧の加え方を変える。特に胸椎下部(胸腰移行部)は浮遊肋が接続しており、圧を強くしすぎると不快感を与えたり、浮遊肋を損傷することがあるため注意する。

3.腰仙部の母指圧
目
的
-
起立筋付着部へ刺激を与える。
-
腰仙部の関節の可動域を広げる。
両手の親指でL5(腰椎の5番目)の両サイド(=PSISと脊柱の間)を刺激する。この時、面に対して垂直に圧を加えるようにする。

!! POINT !!
他動(たどう)
外から加わった力で身体を動かすこと。患者本人は身体を動かそうとせず、施術者が力を加えて患者の身体を動かすこと。
胸椎(きょうつい)
背骨を構成する骨のうち、胸の後ろに位置する12個の骨。胸椎のうち首に近い6つを「胸椎上部」といい、腰に近い6つを「胸椎下部」という。首に近いほうから1番目,2番目,3番目…と数える。

背中から見た図
!! POINT !!
腰仙部(ようせんぶ)
腰椎と仙骨の間。腰椎は5つあり、その下に仙骨がある。
母指(ぼし)
親指のこと。母指圧は、親指で圧を加えること。
腰椎(ようつい)
背骨を構成する骨のうち、腰のあたりに位置する5つの骨。首に近いほうから1番目,2番目,3番目…と数える。
PSIS(上後腸骨棘)
骨盤後部の骨が出っ張った部分。

背中から見た図
4.臀部・股関節他動運動(片側ずつ)
目
的
-
弱化・緊張している股関節の筋肉の動きをよくする。
-
股関節の動きをよくする。
膝関節を90度曲げた状態で股関節を内旋しながら、手のひらで大転子を押すように大殿筋を押圧する。その後、大殿筋・外旋六筋をストレッチしながら緩める。
一連の動作は、女エクで重要になる外旋六筋を目覚めさせるイメージで行う。補助的に股関節の動作をスムーズにさせる効果もある。

5.ハムストリングス
目
的
-
ハムストリングスを柔らかくほぐし、女エクの動作をスムーズにする。
膝関節を90度曲げた状態で、ハムストリングスのどの部分が緊張しているかを確認する。緊張している箇所に手のひらの付け根で持続的に圧を加えながら、膝を屈伸させる。
外側が強く緊張している場合、大腿二頭筋に持続的に圧を加える。
内側が強く緊張している場合、半腱様筋・半膜様筋に持続的に圧を加える。
!! POINT !!
大殿筋(だいでんきん)
おしりの最も大きな筋肉。
大転子(だいてんし)
太ももの骨である大腿骨の腰側にある出っ張り。おしりの横側にあり触れやすい。
外旋六筋(がいせんろっきん)
股関節と大腿骨をつなぐ複数の筋肉の総称。梨状筋・内外閉鎖筋・上下双子筋・大腿方形筋の6つが含まれる。
別名「股関節のインナーマッスル」。

背中から見た図
!! POINT !!

背中から見た図

2)側臥位(横向き)での施術
このパートでは、特筆されていない限り、すべての動作を右側臥位・左側臥位の両方で行います。
1.肩甲骨
目
的
-
肩甲骨の動きをスムーズにする。
肩部前方と肩甲骨体部の動きを確認しながら、肩甲骨を大きく動かすように肩を回す。同時に、親指以外の指で肩甲挙筋・菱形筋をほぐす。


2.広背筋、大円筋、肩関節外旋筋
目
的
-
肩関節または肩周辺の動きを良くする。
肩関節を外転・外旋させると同時に、肩甲骨の外転動作を押さえるように肩甲骨外側縁を手のひらで押圧して広背筋・大円筋のストレッチをする。この時、肩関節外旋筋までアプローチするようにする。

3.脊柱のストレッチ
目
的
-
脊柱を回旋しやすくする。
!! POINT !!
肩甲骨体部(けんこうこつたいぶ)
肩甲骨の平らで面積が広い部分。
肩甲挙筋(けんこうきょきん)
肩甲骨と首(頸椎)をつなぐ筋肉。肩甲骨を上にあげる動作をするときに使う。
菱形筋(りょうけいきん)
肩甲骨と背骨(脊椎)をつなぐ筋肉。肩甲骨を内側に寄せ胸を張るときに使う。

背中から見た図
!! POINT !!
広背筋(こうはいきん)
背中の真ん中から下半分を占める、逆三角形の大きな筋肉。
大円筋(だいえんきん)
肩甲骨の下部と上腕をつなぐ筋肉。肩関節を内転・内旋させるときに使う。
肩関節外旋筋(かたかんせつがいせんきん)
棘下筋・小円筋の総称。
!! POINT !!
PSIS(上後腸骨棘)
骨盤後部の骨が出っ張った部分。
※以下は左側臥位の場合です。右側臥位で行う際は、以下すべて左右を入れ替えてください。
患者は右股関節と右ひざを曲げた姿勢をとり、組んだ手を側腹部に添える。施術者は、患者の胸部が天井を向くように、患者の身体をひねる。具体的には、左手で患者の右肩を、右手で右側のPSISを押さえて体幹を捻転させるようにストレッチする。右手でPSISを押さえるとき、右足の大腿骨が伸びる方向に向かって押すようにする。
肩甲骨をベッドに近づけるイメージで行うと良い。
身体を捻転させるとき、患者には2~3回深呼吸をしてもらう。呼吸を吐き出すときに合わせて伸ばすようにする。

3)仰臥位(仰向け)での施術
1.内転筋
目
的
-
内転筋の柔軟性を高める。
-
股関節外転外旋位にもってきて、内転筋を揉捏する。
-
外転外旋位にある脚の大腿遠位部と、反対の足のASISに手のひらを添えてストレッチする。


!! POINT !!
内転筋(ないてんきん)
内ももにある筋肉の総称。大内転筋・長内転筋・短内転筋・薄筋・恥骨筋の5つを含む。
大腿遠位部(だいたいえんいぶ)
大腿骨の太もも側の出っ張り。
ASIS(上前腸骨棘)
骨盤前部の骨が出っ張った部分。

背中から見た図
2.臀部のストレッチ
目
的
-
臀部をストレッチする。
膝関節を曲げた状態で股関節外旋位にし、太ももが反対側の肩に向かうように屈曲させる。(右太ももなら左肩へ向かうように屈曲させる)

3.ハムストリングス・下腿三頭筋のストレッチ
目
的
-
骨盤に付着するハムストリングスと、そこと連動する下腿三頭筋(主に腓腹筋)の柔軟性を高める。
膝を伸ばした状態で脚をゆっくり上げ下げし、太ももの裏をストレッチする。(SLRストレッチ)

!! POINT !!
SLRストレッチ(straight leg raising ストレッチ)
左記参照。
下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
ふくらはぎの筋肉の総称。腓腹筋・ヒラメ筋の2つを含む。

背中から見た図
4.肩関節
目
的
-
猫背を改善する。
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肩関節の内巻きを軽減する。
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大胸筋・三角筋前部繊維の柔軟
肩関節に外転・外旋位動作を加えながら、手のひらと手のひらの付け根で大胸筋・三角筋を押圧しながらストレッチを加える。この時、前腕は中間位に置く。
